※別にアルフォウの記事ってわけじゃないです
※28ルリグ分やろうと思ったんですが全部書き上げるのが100年先くらいになりそうなんでとりまで上げてみました
※ルリグカードの背景無視してます
※恥ずかしいので固定はしません
※週1くらいで文章の練習したいくらいにはブランクを痛感しました
「あら、熊さんじゃないですか」
日も落ちて薄暗くなっていた夕暮れ。自転車を押しながらとぼとぼ歩いていた僕に。
彼女、市内でもそこそこ知名度の高いお嬢様校の気品溢れる制服を着た彼女は声をかけた。
本日は2月14日。やけに軽そうな荷物した僕はさぞ滑稽に見えたことだろう。
友人の中には居もしないチョコをくれる相手を待っては普段以上に放課後の自習に精を出したり勉強したくないからと無駄に身の回りの整理整頓を始めたりと言う輩も大勢居たが。
生憎僕はそういうのではなくて純粋に部活のOBとしての責務を全うしていただけだったのであるからして。
「別に誰かチョコくれないかなーとか待ってた訳じゃなくて、部活のOBOGで作る冊子の居残りしてただけだからな」
「別にそんな否定しなくても…ふふっ」
「……まあそちらの予想通り、チョコは貰ってないぞ。あいつら揃いも揃ってチョコとか作らない武闘派の連中だから」
「吹奏楽部なのに何の女気も無いなんて何事かってずっと言われてましたからねー」
気付けば足を止め、自転車を停めて語らう僕。彼女は手入れが大変とぼやいていた銀の髪を風になびかせ、かじかんだ両手にふうふうと息を吹きかける。
寒がりは相変わらずらしい。
「じゃあ、そろそろ帰るんで」
「あらつれない。ところで…」
彼女は行儀よく整理された鞄の中に手を入れ。まさぐってまさぐってまさぐって、ふと手を止めた。
「何だと思いました?」
「何て…」
「またまた……」
彼女が鞄から取り出したのはハートの形をしたピンク色の物体。
彼女が、いや『元』彼女が。もう自分には向けるはずの無いと思っていた顔を向けて。
それはこの日この時この瞬間だけの、きっと二度と訪れないものだった。
「…貰っておく。その…ありがとう」
別にチョコが好きなわけじゃない。元彼女へ未練があったわけでもない。ただ何となく受け取ってしまった。
同時に、彼女だってただ何となく渡したのだろう。既製品の、どこにでも売っているチョコを。
「どういたしまして。……そういえば風の噂で聞きましたけど、ナナちゃんと喧嘩中なんですってね」
「あいつが言ったのそれ」
「さあ……女子のネットワークってそれはもうものすごいので」
ふふっと笑って微笑む彼女。釣られて僕も自然と頬が緩んでしまった。
「まあ、悪いのはこっちだし何とか頑張ってみるさ。にしてもお前らの方はラブラブで羨ましいよ」
「何てったって年季が違うので。ふふん」
「……それじゃあまた」
軽く手を振って、僕は自転車に乗った。風がまた一つ吹いた。
……………
………
…
「はぁ…はぁ…悪い遅くなった」
「何ですかまたパチですか」
「んなわけねぇやろ高校生やぞ」
「あれ、今はそう言う設定でしたっけ」
…それは遠くない未来。
「また戦うことになりましたね、私と一緒に征く道を捨てた事、後悔させてあげますから」
「後悔なんてしないさ、次こそ勝たせてもらうからな」
「「オープン!!」」